解説者のプロフィール

澤井泰董(さわい・やすなお)
昭和39年生まれ。北海道出身。1983年函館ラ・サール高等学校卒業、1991年岩手医科大学歯学部卒業、1994年壱番舘歯科クリニック開業、2016年上石神井クリニックファーム歯科開業。SJCD(歯周・審美補綴学会)会員、JOSG(一般臨床医矯正研究会)会員。厚生労働省認定卒後臨床研修指導医、日本糖尿病学会歯科医師登録医、盛岡赤十字病院口腔ケア回診チーム歯科医師。趣味は楽器演奏で、歯科治療の傍ら、音楽活動も行っている。
理にかなった健康的なダイエットメニュー
私が真剣にダイエットのことを考えるようになったのは2011年、忘れもしない東日本大震災のあった年です。震災のとき私は岩手県盛岡市におり、津波の被害からは免れましたが、その大変な現場を目の当たりにしました。
それから半年後、私は心筋梗塞(心臓の血管が詰まって起こる病気)になり、生死をさまよいました。処置が早かったので、幸いに一命を取り留めることができました。
原因として思い当たることは、震災後、私は歯科医師会やその他の団体で災害の支援活動を行っており、そのストレスがあったと思います。しかしなにより一番の原因として考えられるのは、それまでの不摂生な生活だったと思われます。
その頃の私は体重72kg(BMIから適正体重の12kgオーバー)、睡眠時間は不規則で運動不足、暴飲暴食、おまけに喫煙という、医療人として恥ずかしい生活をしていました。
遺伝的体質も大きく関わっていたかもしれません。私の父は57歳、そして父の弟である叔父も42歳で同じ病気で他界しています。自分も同じ命に関わる病を患ってからは、さすがに生活も考え方も変わったわけです。
大いに反省した私は一念発起して、まずは体重を3ヵ月で60kgまで落としました。1日1500キロカロリー、塩分6gに絞る生活は結構大変でした。さらに、極力歩くということを心がけました。
現在、私は診療で東京と岩手を行き来する生活をしており、気をつけないと、食生活や生活のリズムが不規則になりがちです。
せっかく適正体重まで落とし、食生活の改善や極力歩く習慣を維持してはいましたが、心疾患の既往のある人間が、極力負荷をかけずに健康な身体をつくるためにはどうしたらよいかについて、ジャングルジムの吉江一彦先生に相談し、パーソナルトレーニングを受けることになりました。
ジャングルジムメソッドの中で注目すべき点は食事です。その中でも豚汁(正確には「ジャングルみそ汁」)は歯科医の立場から見ても、理にかなった健康的ダイエットメニューです。
[別記事:「やせる豚汁」の作り方→]
かみ応えのある食材で満腹感アップ

具だくさんの豚汁で苦痛なくダイエットできる!
成長期には、物をかむことはあごを発達させ、あごの発育は歯並びに影響し、ひいては脳の活性化にもつながると言われています。物を食べることは栄養摂取のみならず、あらゆる健康維持にも関与していると言えます。
そういうことからも、ダイエット中の食事はとても重要な問題となってきます。
得てして、ダイエット中の食べ物は粉末を溶かして飲む液体状の栄養補助食品だったり、プロテインだったりと、味気ないものが多いようです。
ダイエットの天敵は、この悲壮感漂う味気ない食事、または、食べられないことによるストレスではないでしょうか。
その点豚汁は具だくさんで、体に必要な栄養素を効率よくとることができますし、ダイエット中の人からは、目で見ても満足でき、実際の量、質的にも満足感が得られます。
歯科的な立場から言いますと、ゴボウ、レンコンなどの根菜類や豚肉などの食材が入っていることにより、ダイエット中には縁遠くなりがちな咀嚼を促してくれます
。
さらに、かむことによって満腹中枢が刺激され、唾液分泌も促されて、唾液に含まれる消化酵素(アミラーゼ)が消化を助けてくれます。
そして注目点は、優良発酵食品であるみそを使っていることです。
みそに含まれる乳酸菌は、ヨーグルトよりは少ないとはいえ、乳酸菌はムシ歯・歯周病・口臭などの予防、免疫力(病気に対する抵抗力)のアップ、生活習慣病の予防、アレルギーの改善などに有効なことが最近分かってきています。
私は実際3日間、夕食を豚汁に置きかえてみましたが、苦痛には感じませんでした。
以前、粉末を溶かして飲むタイプのダイエット食品を夕食に置きかえる方法を試したことがありますが、咀嚼しない食事のため、食べたという満足感が全くなく、そしてなによりも、食事の味気なさによる悲壮感を感じたものでした。
その点、豚汁は具だくさんで、十分満足感を満たしてくれます。少し足りないと思う場合は、コンニャクを増量したりするとよいかもしれません。
このように豚汁は、スーパーダイエットメニュー。歯科医の立場からもぜひお勧めしたいです。
[別記事:「やせる豚汁」の作り方→]
![画像: この記事は『安心』2020年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783536/rc/2020/03/10/b511bcbf26bdd9f00558b5626eec73d1f09fe00f.jpg)
この記事は『安心』2020年2月号に掲載されています。
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