大根やシイタケには、たんぱく質や脂肪の分解を助ける消化酵素が含まれるほか、古い脂肪を排出して血液をきれいにするので、糖尿病の合併症予防にもよいでしょう。余計な脂肪が排出されれば、腎臓や肝臓にもよい影響をもたらします。【解説】三浦直樹(みうらクリニック院長)

解説者のプロフィール

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三浦直樹(みうら・なおき)
みうらクリニック院長。兵庫医科大学卒業。「難病といわれてもあきらめない」をモットーに、鍼灸や整体などの手技療法、マクロビオティックや薬膳、漢方などの食事療法などを、必要に応じて組み合わせ、自然治癒力を引き出す治療(統合治療)を行っている。近著に、『薬だけに頼らず病気を治す 家庭療法の教科書』(マキノ出版)がある。

双方の効能を手軽においしく得られる!

日本には、昔から身近にある植物や食べ物を使った「手当て」と呼ばれる民間療法があります。

私のクリニックでは、患者さんが自分でできるセルフケアとして、この手当て法をお伝えしています。手当て法を知っていれば、ちょっとした体調不良なら自分で症状を和らげたり、また、早めに対処することで病気の悪化を防いだりすることができるからです。

例えば、食べ合わせや、体調に合わせて食べる物を考えるのも、手当ての一つです。

なかでも、血圧が高い人、中性脂肪値やコレステロール値が高い人、脳梗塞や心筋梗塞の心配がある人に私がよく勧めるのが、切り干し大根干しシイタケです。

大根やシイタケには、たんぱく質や脂肪の分解を助ける消化酵素が含まれるほか、体の中の古い脂肪を溶かし、排出する作用があります。

焼き魚に大根おろしが、刺身にツマが添えられているように、昔の人は食べ物の持つ機能を経験的に知っていたのでしょう。私自身も、トンカツはおろしポン酢で食べるなど、動物性食品や揚げ物を食べる場合には、必ず大根を添えるようにしています。

ただ、生の大根や、シイタケをはじめとするキノコ類は、体を冷やしやすいという特徴があります。その点、切り干し大根と干しシイタケは、天日に当てて作るため、体を冷やす作用が弱まるのです。

それぞれ単独で食べてもかまわないのですが、二つ併せて煮出し、煮汁だけをこした「干し大根スープ」なら、切り干し大根と干しシイタケ両方の効能が手軽に得られます(基本の作り方は別記事参照)。

[別記事:【干し大根スープの作り方】糖尿病の予防や便秘改善、美肌効果も期待できると大人気→

なにより、どちらもいいだしが出るので、おいしいことが最大のメリット。手当てといえども食べ物ですから、まずおいしいことがとても重要だと、私は考えています。

豊富なミネラルが貧血や骨粗鬆症に有効

干し大根スープを飲んで血圧やコレステロール値が下がった人は、患者さんのなかにも多数おられます。

古い脂肪を排出して血液をきれいにするので、糖尿病の合併症予防にもよいでしょう。余計な脂肪が排出されれば、腎臓や肝臓にもよい影響をもたらします。

もう一つ、干した大根やシイタケをお勧めする理由は、日に当てることによって栄養価が高まるからです。

特に、乾物にはミネラルが豊富に含まれます。切り干し大根は亜鉛カルシウムといったミネラルが豊富です。また、干しシイタケはビタミンDも多く含有します。そのため、干し大根スープは、貧血の改善骨粗鬆症の予防にも役立つのです。

画像: 天日干しのスープは栄養満点

天日干しのスープは栄養満点

切り干し大根や干しシイタケを購入する際は、必ず「天日干し」と明記されている物を選ぶようにしてください。外国産の安価な物は、ボイラー乾燥されている物が多いので注意が必要です。

自分で大根やシイタケを干して、手作りするのもよいでしょう。購入した切り干し大根や干しシイタケが、天日干しかどうかわからないときは、2〜3時間、天日に当てるだけでも栄養価はアップします。

ただし、空気がきれいとはいえない環境での天日干しは、あまりお勧めしません。どうしても日に当てたければ、ガラスの容器などに入れて当てるというのも、一つの方法です。

干し大根スープは、空腹時に飲むのが最も効果的です。飲む量は、1日にコップ1杯程度を目安にしてください。

空腹時以外のお勧めのタイミングとしては、肉や魚、揚げ物などを食べるときです。食前に干し大根スープを飲んでおくと、消化がよくなります。食事といっしょにとってもかまいません。

先人たちの知恵による日本の伝統的な食べ物で、自分の体を自分でケアする手当て法を、ぜひ身につけておきましょう。

[別記事:【干し大根スープの作り方】糖尿病の予防や便秘改善、美肌効果も期待できると大人気→

画像: この記事は『壮快』2020年1月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年1月号に掲載されています。

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