自律神経を乱す要因の一つとして、近年注目されているのが、食後に血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」です。また、必要以上に食べていて、胃腸が弱っている現代人にとっても、糖質ほぼゼロ、タンパク質が豊富、消化吸収がスムーズなチキンスープは大きな価値があるでしょう。【解説】駒形依子(こまがた医院院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

駒形依子(こまがた・よりこ)
東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科などを経て、2018年1月、山形県米沢市にこまがた医院を開業。「子宮が大好きすぎる産婦人科医」として、西洋医学・東洋医学の視点から、患者さん自身で行える子宮のケア方法を多く提案している。著書『子宮内膜症は自分で治せる』(マキノ出版)が好評発売中。
「気まぐれ産婦人科医のひとりごと」https://ameblo.jp/zzz859225/

チキンスープは糖質ほぼゼロ

自律神経は、呼吸や心拍、体温調節、血圧、血糖値、ホルモン分泌、胃腸の消化・吸収・排泄機能など、生命維持に欠かせない機能全般をコントロールしています。

あまりにもコントロールする管轄が広いため、何かの要素が乱れると、それに連動して自律神経の働き全体が乱れ、心身の不調につながることになりかねません。

たとえば、不規則な食事や夜型の生活、睡眠不足や運動不足、ストレスや過労、更年期に伴う女性ホルモンの急減なども、自律神経に負担をかける要因となります。

自律神経を整えるには、自分の生活習慣を見直して、負担をかける要因を減らしていくことがたいせつでしょう。

自律神経を乱す要因の一つとして、近年、注目されているのが、食後に血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」です。

糖質が多く血糖値が上がりやすい食事をとったり、食べ過ぎたりすると、食後に血糖値が急激に上昇し、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが多量に分泌され、血糖値が急降下します。

血糖値スパイクを繰り返すうちに、インスリンの分泌が正常に働かなくなり、必要以上に血糖値を下げてしまうようになります。

すると、低血糖による眠気や体のだるさ、頭痛、動悸、集中力の低下、イライラ、不安といった症状が現れるとともに、自律神経の乱れにつながるのです。

そこで、堀江昭佳先生がお勧めしている、骨付きの鶏肉をじっくり煮込んで作る「チキンスープ」を食事に取り入れることで、血糖値スパイクを防ぐ効果が期待できるでしょう。

[別記事:自律神経のバランスが整う「チキンスープ」の作り方→

食後の血糖値の急上昇を防ぐには、糖質がメインの食べ物のとり過ぎを避け、糖質の吸収を遅らせる食物繊維を豊富に含む食べ物を、ゆっくりとよくかんで食べることが必要です。

その点、チキンスープには糖質がほとんど含まれておらず、血糖値が上がる心配はありません。根菜類など食物繊維が多い野菜を具に加えたチキンスープを食前にとれば、満腹感が得られ、食べ過ぎと食後の血糖値の急上昇を抑えることができるでしょう。

鉄分だけでなくコラーゲンも摂取できる

鶏肉には良質なたんぱく質が含まれています。

たんぱく質は血液や筋肉、骨、内臓、肌や髪など、体を作る重要な栄養素ですが、近年、日本人のたんぱく質の摂取量は、戦後間もない1950年代と同水準まで減少しています。

鶏肉には、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、人間の体内で合成できない必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれており、たんぱく質の補給に適しています。

しかも、骨付きの鶏肉を煮込んでスープにすれば、女性に不足しがちな鉄分や、皮膚や骨を丈夫にするために欠かせないコラーゲンなどの栄養素も、骨や皮からスープに溶け出して、効率よく摂取できます。

チキンスープの利点は、長時間煮込むことで具材が柔らかくなり、栄養がスープに溶け出しているため、消化・吸収がよいことです。

私が日頃、患者さんたちの診療で実感しているのは、胃腸が弱っている人が非常に多いということです。

現代人の胃腸が弱っている一因は食べ過ぎにある、と私は考えています。必要以上に食べていて、胃腸が疲れているのです。食後に胃もたれを感じる人、便秘や下痢のある人は、胃腸が弱っていると考えて、まず間違いありません。

胃腸が弱っている人は、食べたものの消化・吸収・排泄がうまくできないので、どんなに栄養があるものを食べても、それが体に生かされません。

たんぱく質や鉄分をとるには、赤身肉やレバーなどもよい食材ですが、胃腸が弱っていると消化し切れず、きちんと吸収できないのです。

けれども、スープであれば、胃腸に負担をかけずに、栄養をとることができます。

食べ過ぎで弱っている胃をチキンスープで休ませて

チキンスープは、朝食代わりにもお勧めです。人間の体のリズムから言うと、朝は排泄の時間帯にあたるので、朝食はできるだけ軽めにして、胃腸を休ませるのが理想的です。とはいえ、何も食べないと体が冷えてしまいます。

チキンスープは体を温めつつ、消化にかかるエネルギーを省力し、栄養の吸収と排泄にエネルギーを集中させることができるので、朝食に向いているのです。

睡眠中に体の水分が失われるので、水分を補う意味でも、スープを朝食にとることは理想的です。

以上のように、糖質ほぼゼロ、タンパク質が豊富、消化吸収がスムーズという点から、チキンスープは、現代人にとって大きな価値があるでしょう。

[別記事:自律神経のバランスが整う「チキンスープ」の作り方→

■チキンスープに入れるナツメ、クコの実、カンキョウの効果

画像: 食べ過ぎで弱っている胃をチキンスープで休ませて

ナツメ
冷えやむくみ、貧血などの婦人科系の病気に効果的
クコの実
ビタミン豊富でアンチエイジング効果が期待できる
カンキョウ
カンキョウとは、ショウガを蒸してから乾燥させたもの。新陳代謝を促し、体温を上げる効果がある
※スーパーの乾物売場や自然食品店で手に入る

画像: この記事は『ゆほびか』2020年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『ゆほびか』2020年2月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.