脊椎動物にとって、背骨を動かすことは大きな意味があります。太極拳などにも取り入れられている腕を振る運動「スワイショウ」(腕振り体操)で、背骨の周囲の筋肉をほぐして柔らかい背骨を作ると、自律神経のバランスが整うのです。【解説】岡田恒良(なごやかクリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

岡田恒良(おかだ・つねよし)

1955年、岐阜県生まれ。岩手医学大学卒業。医学博士。なごやかクリニック院長、NPO法人いずみの会顧問医、「名古屋醫新の会」主宰。名古屋大学医学部附属病院などに勤務後、1991年から9年間、尾西市民病院で外科部長を務める。また、2000年より日本ホリスティック医学協会理事(3年間)、2002年より日本WHO協会愛知支部長(4年間)を務める。
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スワイショウは心身の不調を治す「動く禅」

漢字では甩手(せいしゅ)と書く

約20年の外科医生活に終止符を打ち、自然治癒力を高めるための活動として、これまでガン患者の会の顧問医を引き受けたり、自然療法を学ぶ会を定期的に開催しています。

こうした活動の中で、誰でも簡単にできる「スワイショウ」(腕振り体操)を多くのかたに勧めてきました。

スワイショウとは、中国で古くから伝わってきた腕を振る運動で、太極拳などにも取り入れられています。漢字では甩手(せいしゅ)と書きます。その原点は、1500年前にインドから中国に渡った仏教僧の達磨がもたらした「達磨易筋経」にあるようです。

スワイショウは「百病皆治」、つまり、さまざまな病気を治す効果があるとされています。実際、これまでスワイショウを指導したかたから、

・首の痛みや腰痛が和らいだ
・不眠に効果があった
・便秘が改善した
・猫背が治ってダイエット効果もあった、など多くの改善報告をいただいています。

高血圧で悩む人がスワイショウを20分間行っただけで、最大血圧150mmHgが130mmHgになったケースもあります(正常値は最大血圧140mmHg以下)。生活習慣病全般に改善効果があり、肥満や糖尿病などにも効果的です。

また、瞑想状態になれることから、スワイショウを動く禅と捉え、「動禅」とも言われています。いつも朝食後に欠かさず20分間行っていますが、やる気やプラス思考、そして「こうすればいい」というひらめきや新しいアイディアを得ています。

同様に多くのかたが、マイナス感情が吹っ切れた、考えがまとまり気持ちが落ち着いたなど、精神面でもすばらしい効果を実感しています。

ポイントは背骨を柔らかくすること

ダイエット効果も期待

スワイショウにこのような効果があるのは、背骨(脊椎)を波打つように動かしたり、ねじったりする動作があるからです。

脊椎動物にとって、背骨を動かすことは大きな意味があります。自律神経が背骨から各器官につながっているからです。そのため、背骨やその周囲の筋肉が硬くなると、自律神経にも悪影響が及びます。

スワイショウで背骨の周囲の筋肉をほぐして柔らかい背骨を作ると、自律神経のバランスが整うのです。

画像: 自律神経は背骨(脊椎)の中にある脊髄から各器官へとつながっている。背骨周りの環境が悪いと自律神経も不調になる

自律神経は背骨(脊椎)の中にある脊髄から各器官へとつながっている。背骨周りの環境が悪いと自律神経も不調になる

さらにスワイショウは、脊髄(※1)を動かして、脳脊髄液(※2)の循環を促します。すると、脳の老廃物がスムーズに取り除かれ、精神が安定するのです。
※1……背骨(脊椎)の中にある神経の束 ※2……脳や神経の中心部を流れる透明な液体で、神経機能に重要な役割を果たす

精神面での効果は、規則正しく反復する動きで頭が空っぽになるため、落ち着きやひらめきなどが得やすいとも言えます。

また、背骨とつながっている骨盤もスワイショウによって揺り動かされます。骨盤内にある大腸や膀胱などの血流も同時に促されるのです。このことから、便秘や下痢、軟便、頻尿などの改善、それによるダイエット効果も期待できます。

「スワイショウ」のやり方

一日が充実するので朝一番に行うのがお勧め!

腕振り ①

左右交互に〝軽く〟腰をひねる……4分間

足は肩幅程度に開き、しっかりと踏み立つ。顔は正面を向いたまま、視線のみを2~3m先に落とす
顔と腰から下は正面を向いたまま
肩・腕は力を抜き、ひねりにあわせて左右に自然に放り出す
左右交互に繰り返す
正しいやり方になっていれば自然とおへその下(丹田)に力が入る
★右と左どちらからひねり始めてもよい

画像1: 「スワイショウ」のやり方

腕振り ②

①よりもさらに大きく左右交互に腰をひねる……4分間

★①から動きを止めずそのまま②に移行する(以下同様に)
顔と腰から下は正面を向いたまま
左右に振る腕は力を抜き、体に巻き付けるように大きく放り出す

画像2: 「スワイショウ」のやり方

腕振り ③

②にひざを曲げる動きを加える……4分間

腰を左右へひねるときに合わせてひざを軽く曲げる
腰を逆方向へひねり始めるときに合わせてひざを伸ばす
腰が正面を向いたときにひざが伸びた状態になる(腰のひねりは止めない)
★逆方向のひねりの場合も同様

画像3: 「スワイショウ」のやり方

腕振り ④

力を入れず放り出すように腕を前後に振る……4分間

腕を前に振るときに合わせて「ひざを曲げる」「腰を前に出す」(背中が少しそれる)
腕を後ろに振るときに合わせて「ひざを伸ばす」「腰を後ろに引く」
前後交互に繰り返す
★単に腕を前後に振るだけでもよい

画像4: 「スワイショウ」のやり方

腕振り ⑤

足踏みをしながら腕と肩を後ろに回す……4分間

左足を上げると同時にひじを伸ばしながら左腕を真上にする。左足を着けると同時に左腕を下ろす
右足を上げると同時にひじを伸ばしながら右腕を真上にする。右足を着けると同時に右腕を下ろす
片方ずつ交互に繰り返す
★慣れてきたら肩の回し方、足の上げ方は自由にしてよい

画像5: 「スワイショウ」のやり方

スワイショウは自然治癒力を引き出す

多くのかたが自覚している通り、現代人は運動不足です。長時間座りっぱなしで、魚やヘビ、ネコのように、背骨を動かす機会がほとんどありません。多くの脊椎動物が柔らかい背骨であるのに対し、人間だけが硬い背骨になっているのです。

最近、自律神経失調症や生活習慣病のかたが増えています。これは、運動不足により背骨が硬くなっているのが原因の一つです。

また、うつや依存症、パニック障害、不安、イライラなどに悩むかたも少なくありません。

こうした心の病気に「気の持ちよう」「気分転換」といったアプローチをしようとすると、逆効果でストレスになる場合があります。心の問題は、スワイショウのような運動で体から治していくほうがうまくいきやすいのです。

ですので、体や心の不調に悩んでいるかたは、ぜひ日常にスワイショウを取り入れてほしいと思います。

病気は誰かに治してもらうものではありません。人間も含め、すべての動物には、自らを治す力が備わっています。スワイショウは、その力を引き出すのです。

画像: スワイショウで背骨(脊椎)を動かすことにより自律神経を始め体内環境が整う

スワイショウで背骨(脊椎)を動かすことにより自律神経を始め体内環境が整う

画像: この記事は『ゆほびか』2020年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『ゆほびか』2020年2月号に掲載されています。

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